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東京地方裁判所 昭和56年(ワ)12390号 判決

アメリカ合衆国コネチカツト州

スタンフオード・ハイリツヂパーク

タイコー・インコーポレーテツド訴訟承継人

原告

ジエネラル・シグナル・コーポレーシヨン

右代表者

ミルトン・イー・クラインマン

右訴訟代理人弁護士

小池恒明

右輔佐人弁理士

浅村皓

村田司朗

松村博

東京都武蔵野市吉祥寺東町二丁目七番一号

被告

株式会社日本マイクロニクス

右代表者代表取締役

長谷川義栄

右訴訟代理人弁護士

三宅正雄

安江邦治

右輔佐人弁理士

徳若光政

主文

原告の請求を葉却する。

訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、三億一八三六万七〇〇〇円及び内八五二〇万円に対する訴状送達の日の翌日から、内一三一六万七〇〇〇円に対する原告の昭和六二年七月二日付準備書面(第一六回)送達の日の翌日から、内二億二〇〇〇万円に対する原告の平成三年一月二四日付準備書面(第三〇回)送達の日の翌日からそれぞれ支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

3  1について仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1(一)  タイコー・インコーポレーテツド(以下「タイコーという。)は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その特許請求の範囲1の特許発明を「本件発明」という。)を有していた。

発明の名称 テスト・プローブ組立体

出願日 昭和四四年一〇月三〇日

優先権主張 一九六九年二月一四日アメリカ合衆国においてした特許出願

公告日 昭和五四年一二月一九日

登録日 昭和五六年三月二四日

存続期間満了の日 平成元年一〇月三〇日

特許番号 第一〇三七二〇〇号

(二)  カリフオルニア州法人エレクトログラス・インコーポレーテツド(以下「エレクトログラス」という。)は、一九八三年(昭和五八年)一二月三〇日、タイコーを合併した。

(三)  デラウエア州法人ザイネテイクス・インコーポレーテツド(以下「ザイネテイクス」という。)は、同月三一日、エレクトログラスを合併した。

(四)  原告は、ザイネテイクスの唯一の株主であつたところ、一九八七年(昭和六二年)一二月一日までに、ザイネテイクスの資産を包括して譲り受け、更に、その保有するザイネテイクスの全株式を消却して、ザイネテイクスを消滅させ、これにより、ザイネテイクスの権利義務を承継した。

(五)  原告は、右(一)ないし(四)により、本件特許権を承継した。

2  本件発明の特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲1の記載は、次のとおりである。

(a) 面上に印刷された回路を有し、特定の位置に開口を有するプリント回路板と、

(b) 全体としての横方向の寸法が高さより大きく、支持表面を有し、前記プリント回路板の開口の位置に配置され、その回路板の開口と同心状の開口を備えた絶縁体のベース部材と、

(c) 細く、繊細な線条で形成され、該ベース部材の支持表面上に支持され、前記プリント回路板の面に関して特定の鋭角で延び、かつほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブであつて、互いに離隔した接触端を有し、プリント回路板から開口内へ延在し、一共通平面上に存在する接触面を含み、前記プローブの他端が回路板の一面上のプリント回路に接続され、プローブがその内端と外端間で特定の角度で配置されている多数の導電性金属のテスト・プローブと、

(d) 該導電性プローブの各々を関連の導電性プローブから離隔して特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し、前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するたあの手段と、を包含するテスト・プローブ組立体。

3  本件発明の構成要件は、次のとおりである。

A 面上に印刷された回路を有し、特定の位置に開口を有するプリント回路板と、

B 全体としての横方向の寸法が高さより大きく、支持表面を有し、前記プリント回路板の開口の位置に配置され、その回路板の開口と同心状の開口を備えた絶縁体のベース部材と、

C(一)細く、繊細な線状で形成され、該ベース部材の支持表面上に支持され、前記プリント回路板の面に関して特定の鋭角で延び、かつ、ほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブであつて、互いに離隔した接触端を有し、(二)プリント回路板から開口内へ延在し、一共通平面上に存在する接触面を含み、(三)前記プローブの他端が回路板の一面上のプリント回路に接続され、(四)プローブがその内端と外端間で特定の角度で醒置されている、(五)多数の導電性金属のテスト・プローブと、

D(一)該導電性プローブの各々を、(二)関連の導電性プローブから離隔して、(三)特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し、(四)前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、(五)を包含するテスト・プロープ組立体。

4  被告は、業として、別紙目録(一)及び(二)記載のテスト・プローブ・ボード(以下それぞれを「被告製品(一)」、「被告製品(二)」という。)を製造販売した。

5  被告製品(一)は、次のとおり、本件発明の構成要件を充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

(一) 本件発明の構成要件Aは、「面上に印刷された回路を有し、特定の位置に開口を有するプリント回路板と、」というものであるところ、被告製品(一)は、写真法で面上にプリントされた配線3(番号は、別紙目録(一)記載のものを指す。被告製品(一)につき以下同じ。)を有し、特定の位置に開口2を有するプリント基板1を有する構造であるから、本件発明の構成要件Aを充足する。

(二) 本件発明の構成要件Bは、「全体としての横方向の寸法が高さより大きく、支持表面を有し、前記プリント回路板の開口の位置に配置され、その回路板の開口と同心状の開口を備えた絶縁体のベース部材と、」というものであるところ被告製品(一)は、全体として横方向の寸法が高さより大きく、テーパー状の支持表面を有し、プリント基板1の開口2の位置に配置され、そのプリント基板1の開口2とほぼ同心状の開口を備えた絶縁体の支持体6を有する構造であるから、本件発明の構成要件Bを充足する。

(三)(1) 本件発明の構成要件C(一)は、「細く、繊細な線条で形成され、該ベース部材の支持表面上に支持され、前記プリント回路板の面に関して特定の鋭角で延び、かつ、ほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブであつて、互いに離隔した接触端を有し、」というものであるところ、被告製品(一)は、細く、繊細な線条で形成され、支持体6の支持表面上に支持され、プリント基板1の面に関して特定の鋭角で延び、かつ、ほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のプローブ8であつて、互いに離隔した接触端を有する構造であるから、本件発明の構成要件C(一)を充足する。

(2) 本件発明の構成要件C(二)は、「プリント回路板から開口内へ延在し、一共通平面上に存在する接触面を含み、」というものであるところ、被告製品(一)は、プローブ8が、プリント基板1の開口2の下方に存在し、一共通面上に存在する接触面を含む構造であるから、本件発明の構成要件C(二)を充足する。

(3) 本件発明の構成要件C(三)は、「前記プローブの他端が回路板の一面上のプリント回路に接続され、」というものであるところ、被告製品(一)は、プローブ8の他端がプリント基板1の一面上のプリント回路線に接続される構造であるから、本件発明の構成要件C(三)を充足する。

(4) 本件発明の構成要件C(四)は、「プローブがその内端と外端間で特定の角度で配置されている」というものであるところ、被告製品(一)は、プローブ8は、真直ぐに形成されているが、その先端が折れ曲つて形成されている構造であるから、本件発明の構成要件C(四)を充足する。

(5) 本件発明の構成要件C(五)は、「多数の導電性金属のテスト・プローブと、」というものであるところ、被告製品(一)は、多数の導電性金属のプローブ8を有する構造であるから、本件発明の構成要件C(五)を充足する。

(四) 本件発明の構成要件D(一)ないし(五)は、「(一)該導電性プローブの各々を、(二)関連の導電性プローブから離隔して、(三)特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し、(四)前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、(五)を包含するテスト・プローブ組立体」というものであるところ、被告製品(一)は、(1)導電性プローブ8の各々を、(2)関連の導電性プローブから離隔して、(3)テーパー状の支持体6の表面に固着し、(4)プローブ8をほぼ円錐配列で保持する手段と、(5)を包含するテスト・プローブ・ボードであるから、本件発明の構成要件D(一)ないし(五)を充足する。

6  被告製品(二)は、次のとおり、本件発明の構成要件を充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

(一) 本件発明の構成要件Aは、「面上に印刷された回路を有し、特定の位置に開口を有するプリント回路板と、」というものであるところ、被告製品(二)は、写真法で面上にプリントされた配線3(番号は、別紙目録(二)記載のものを指す。被告製品(二)につき以下同じ。)を有し、中央部に開口2を有するプリント基板1を有する構造であるから、本件発明の構成要件Aを充足する。

(二) 本件発明の構成要件Bは、「全体としての横方向の寸法が高さより大きく、支持表面を有し、前記プリント回路板の開口の位置に配置され、その回路板の開口と同心状の開口を備えた絶縁体のベース部材と、」というものであるところ、被告製品(二)は、全体として横方向の寸法が高さより大きく、テーパー状の支持表面を有し、プリント基板1の開口2の位置に配置され、四つの円弧の組合せからなり、プリント基板1の開口2とほぼ同心状の方形の開口を備えた絶縁体の支持体6を有する構造であるから、本件発明の構成要件Bを充足する。

(三)(1) 本件発明の構成要件C(一)は、「細く、繊細な線条で形成され、該ベース部材の支持表面上に支持され、前記プリント回路板の面に関して特定の鋭角で延び、かつ、ほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブであつて、互いに離隔した接触端を有し、」というものであるところ、被告製品(二)は、細く繊細な線条で形成され、プリント基板1の面に関して特定の鋭角で延び、また、自由端長が相互に等しく、かつ、円錐状に配置した多数の導電性金属のプローブ8であつて、互いに離隔した接触端を有する構造であるから、本件発明の構成要件C(一)を充足する。

(2) 本件発明の構成要件C(二)は、「プリント回路板から開口内へ延在し、一共通平面上に存在する接触面を含み、」というものであるところ、被告製品(二)は、プローブ8が、プリント基板1の開口2の下方に存在し、一共通面上に存在する接触面を含む構造であるから、本件発明の構造要件C(二)を充足する。

(3) 本件発明の構成要件C(三)は、「前記プローブの他端が回路板の一面上のプリント回路に接続され、」というものであるところ、被告製品(二)は、プローブ8の他端はプリント基板1の一面上のプリント回路線に接続される構造であるから、本件発明の構成要件C(三)を充足する。

(4) 本件発明の構成要件C(四)は、「プローブかその内端と外端間で特定の角度で配置されている」というものであるところ、被告製品(二)は、プローブ8は、直線的に延びているが、その先端が接触端として電極に接触するようにほぼ垂直方向に折り曲げて形成されている構造であるから、本件発明の構成要件C(四)を充足する。

(5) 本件発明の構成要件C(五)は、「多数の導電性金属のテスト・プローブと、」というものであるところ被告製品(二)は、多数の導電性金属のプローブ8を有する構造であるから、本件発明の構成要件C(五)を充足する。

(四) 本件発明の構成要件D(一)ないし(五)は、「(一)該導電性プローブの各々を、(二)関連の導電性プローブから離隔して、(三)特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し、(四)前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、(五)を包含するテスト・プローブ組立体」というものであるところ、被告製品(二)は、(1)該導電性プローブ8の各々を、(2)それぞれの導電性プローブから離隔し、(3)テーパー状の支持体6の支持表面に接着層7によつて固定支持し、(4)プローブ8をほほ円錐配列で保持する手段と、(5)を包含するテスト・プローブ・ボードであるから、本件発明の構成要件D(一)ないし(五)を充足する。

7(一)  被告は、故意又は過失により、昭和五四年一二月一九日から同五六年一〇月一二日までの間に三五五〇個、更に、同月一三日から同六二年七月二日までの間に六二七個の被告製品(一)を製造販売した。同五四年一二月一九日から同五六年一〇月一二日までの間に製造販売した被告製品(一)の一個当たりの販売価格は約八万円であつて、同期間の販売総額は二億八四〇〇万円になるから、被告は、右販売総額の三〇%に当たる八五二〇万円の利益を得ており、また、同月一三日から同六二年七月二日までの間に製造販売した被告製品(一)の一個当たりの販売価格は七万円であつて、同期間の販売総額は四三八九万円になるから、被告は、右販売総額の三〇%に当たる一三一六万七〇〇〇円の利益を得ている。したがつて、本件発明の特許権者であつた原告らは、特許法一〇二条一項の規定により、合計九八三六万七〇〇〇円(八五二〇万円十一三一六万七〇〇〇円)の損害を被つたものと推定される。原告は、右1(一)ないし(四)のとおり、右の損害賠償請求権を承継した。

(二)  被告は、昭和五七年一月一日から本件特許権の存続期間が終了した平成元年一〇月三〇日までの約八年間、被告製品(二)を製造販売した。被告は、前半の約四年間に一年当たり約二億八八〇〇万円の売上を得、後半の約四年間に一年当たり約五億円の売上を得ているので、右約八年間の販売総額は、少なく見積もつても三一億五〇〇〇万円を下ることはなく、被告は、少なくとも販売総額の七%に当たる二億二〇〇〇万円の利益を得ている。したがつて、本件発明の特許権者であつた原告らは、特許法一〇二条一項の規定により、二億二〇〇〇万円の損害を被つたものと推定される。原告は、右損害賠償請求権のうち、昭和六二年一二月一日前に発生した分については、前1(一)ないし(四)のとおりこれを承継した。

(三)  仮に右(二)の主張が認められないとしても、右(二)のとおり、昭和五七年一月一日から平成元年一〇月三〇日までの間の販売総額は、少なく見積つても三一億五〇〇〇万円を下ることはないところ、本件発明の実施に対し通常受けるべき金銭の額は、少なくとも販売価額の七%であるから、本件発明の特許権者であつた原告らは、特許法一〇二条二項の規定により、これに相当する額である二億二〇〇〇万円を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。原告は、右のとおり右の損害賠償請求権の一部を承継した。

8  よつて、原告は、被告に対し、本件特許権に基づき、右損害の額三億一八三六万七〇〇〇円(八五二〇万円十一三一六万七〇〇〇円十二億二〇〇〇万円)及び内八五二〇万円に対する訴状送達の日の翌日から、内一三一六万七〇〇〇円に対する原告の昭和六二年七月二日付準備書面(第一六回)送達の日の翌日から、内二億二〇〇〇万円に対する原告の平成三年一月二四日付準備書面(第三〇回)送達の日の翌日からそれぞれ支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  被告の本案前の主張

本件訴えは、次のとおり、不適法であるから、却下されるべきである。

1  ザイネテイクスと株式会社東京カソード研究所(以下「東京カソード」という。)は、一九八四年(昭和五九年)七月二四日、ザイネテイクスから東京カソードに本件特許権を譲渡する旨の契約を締結したが、既に本件訴えが係属中であつたために、本件特許権の移転登録手続をせず、本件訴えの終了とともに、東京カソードに対する本件特許権の移転登録手続と清算を行う旨合意し、ザイネテイクスは、一九八六年(昭和六一年)までに、東京カソードから、本件特許権譲渡の対価全部の支払いを受けたのであり、本件特許権は、実質的にみて、東京カソードに移転してしまつているのであつて、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、本件特許権を有していないのである。

2(一)  したがつて、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、本件特許権の実質的権利者である東京カソードから、本件において訴訟行為をすることを主たる目的として、本件特許権の信託を受けて、本件訴えを維持しているものと考えざるをえないそうであれば、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、信託法一一条の規定にいう訴訟信託に基づき本件訴えを維持していることになるから、この場合には、本件訴え自体が、不適法であるというべきである。

(二)  仮に(一)が認められないとしても、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、本件特許権の実質的権利者である東京カソードの利益のためにのみ本件訴えを維持しているものであり、しかも、原告の損害賠償請求は、原告及びその被承継人が本件特許権を実施していたか、また、原告自身が被告の行為によつてどのような損害を被つたか(因果関係)についての主張が明らかでないことからすれば、原告の損害の主張は、実体を欠くものであるから、原告には訴えの利益がない。

(三)  仮に(二)が認められないとしても、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、本件特許権の実質的権利者である東京カソードの利益のためにのみ本件訴えを維持しているのであつて、権利の濫用に当たり、許されないものであるから、本件訴えは、不適法である。

三  被告の本案前の主張に対する原告の反論

ザイネテイクスは、東京カソードに対して、本件特許権の実施の許諾をし、その後、昭和五九年七月二四日、東京カソードとの間で、ザイネテイクスから東京カソードに本件特許権を譲渡する旨の契約を締結したのであるが、実施料の支払いはあつたものの、東京カソードからの対価の支払いが完了していなかつたため、本件特許権の移転登録手続をしていなかつたのであり、右のとおり、本件特許権について移転登録がされていない以上、本件特許権の譲渡の効力は、生じていないのであつて、本件特許権は、その存続期間が終了するまで、形式的にも実質的にも原告に帰属していたのである。したがつて、被告の本案前の主張は、いずれもその前提を欠くものであつて、理由がない。

四  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1のうち、(一)ないし(三)は認めるが、()四及び(五)は否認する。

2  同2は認める。

3  同3は否認する。

4  同4については、被告製品(一)に関する部分は認め、被告製品(二)に関する部分のうち、別紙目録(二)の頭書のただし書きの部分は否認し、その余は認める。

5  同5及び6は否認する。

6  同7(一)のうち、被告製品(一)の製造販売個数は認め、その余は否認する。同7(二)及び(三)は否認する。

五  被告の主張

1  被告製品(一)は、次のとおり、本件発明の構成要件を充足しないから、本件発明の技術的範囲に属しない。

(一) 本件発明の構成要件Aについて

プリント回路の製法には、一般に、印刷法と写真法の二つがあるところ、本件明細書の特許請求の範囲1には、「面上に印刷された回路を有し」(本件公報五頁10欄一七行)と記載されているのであるから、本件発明の構成要件Aの「印刷された」とは、印刷法により形成されたものを意味することは明らかである。また、回路とは、通常、輪状又は網状で終端のない通路、すなわち、電源、負荷等を電流の通路の働きだけをする導線などで結んで、終端のない閉路を作つたものをいうものであるところ、本件明細書の発明の詳細な説明の項には、「カードの中央に作られた開口のまわりに放射状の配列(アレイ)で終つている回路線を持つプローブ・カードを含む。」(本件公報二頁3欄九行ないし一一行)との記載があり、右記載によると、回路と区別する概念として回路線という語が用いられているのであるから、本件発明の構成要件Aの「回路」とは、閉回路を意味するものである。したがつて、本件発明の構成要件Aの「面上に印刷された回路を有し」とは、「面上に印刷法で形成された閉回路が一つは存在し」と解するのが相当である。これに対して、被告製品(一)は、プリント基板1の下面上に写真法で形成された配線3を有しているのであるから、被告製品(一)の右構造は、本件発明の構成要件Aの「面上に印刷された回路を有し」との構成を充足しない。

(二) 本件発明の構成要件Bについて

本件発明の構成要件Bの「ベース部材」は、「全体としての横方向の寸法が高さより大きく」というのであるから、その断面形状が長方形でなければならないのに対し、被告製品(一)の支持体6は、表面がテーパー状に形成されているのであつて、その断面形状が長方形にはなつていない。また、本件発明の構成要件Bの「ベース部材」は、「回路板の開口と同心状の開口を備えた」ものであるのに対し、被告製品(一)におけるプリント基板1の開口2と絶縁体の支持体6の開口とは、同心状を形成していない。すなわち、右二つの開口は、ほぼ同心状ではあるが、同心状でなければならないものではなく、むしろ、プローブ8の位置合わせのために、同心状とはならないのである。したがつて、被告製品(一)は、本件発明の構成要件Bを充足しない。

(三) 本件発明の構成要件C(二)について

本件明細書の特許請求の範囲1には、「特定の位置に開口を有するプリント回路板」(本件公報5頁10欄一七行、一八行)と記載され、また、発明の詳細な説明の項には、「開口7は一般にカードの両端間の中間に作られ、円形であるのが好ましく」(同三頁5欄二五行、二六行)と記載され、願書添付の図面第4図(同八頁)には、開口7がプリント回路板の厚みを有する空間であることが示されているのであるから、本件発明の構成要件C(二)の「開口」とは、プリント回路板の特定の位置にある同回路板の厚みを高さとする円柱体の空間を意味するものであり、同構成要件の「プリント回路板から開口内へ延在し」とは、テスト・プローブがプリント回路板から右の意味の開口の中に延びて存在していると解するのが相当である。これに対して、被告製品(一)は、プローブ8の接触端の針先が、プリント基板1から開口2の下方に延びており、開口中には存在していないのであるから、本件発明の構成要件C(二)を充足しない。

(四) 本件発明の構成要件C(三)について

本件発明の構成要件C(三)の「プリント回路」とは、前(一)と同様にプリント開回路を意味するものであるから、同構成要件の「前記プローブの他端が回路板の一面上のプリント回路に接続され」とは、テスト・プコーブの他端が回路板の一面上の少なくとも一つのプリント閉回路に接続されているものと解するのが相当であるのに対し、被告製品(一)のプローブ8の接続端は、プリント基板1の下面上の配線3に接続されているのであるから、本件発明の構成要件C(三)を充足しない。

(五) 本件発明の構成要件C(四)について

テスト・プローブは、右(三)のとおり、プリント回路板から開口の中に延びて存在していると解するのが相当であるところ、そのためには、テスト・プローブが弓状又は鈎状に折れ曲がつていなければならない。本件発明の構成要件C(四)は、このことを規定したものであつて、本件発明の構成要件C(四)の「プローブがその内端と外端間で特定の角度で配置されている」とは、テスト・プローブが、その両端間において、弓状又は鈎状に折れ曲がつていることを意味するのに対し、被告製品(一)は、プローブ8そのものが折れ曲つていないから、本件発明の構成要件C(四)を充足しない。

(六) 本件発明の構成要件D(三)について

本件発明は、「ある特定のプローブ組立体」を提供することを目的としているのであるが、更に、「プローブ組立体はそれに係わる複雑さをなくし製造費用を最小にするように製造される」(本件公報二頁3欄二三行ないし二五行)ことを目的とし、「多数個の導電性プローブは適当な位置に個々の導電性プローブを保持する適当な支持体上に放射状に組み立てられ」(同二頁3欄二八行ないし三〇行)ねばならないという具体的な技術課題の解決のために、願書添付の図面第7図及び第8図(同九頁)に示すようなリング状の支持部材38のすり鉢状に傾斜する上面42の上に多数のテスト・プローブを放射状に並べ、その上に軟性の絶縁材料29を乗せてテスト・プローブの中間部22を埋設するようにし、また、その上に断面形状が長方形(横方向の寸法が高さより大きい)かつリング状のベース部材16を乗せて、絶縁材料及びテスト・プローブを上から押えたうえで加熱し、絶縁材料の層29を硬化し、テスト・プローブを永久に保持するという方法を採用して、願書添付の図面第10図(同頁)に示されたテスト・プローブ組立体を形成し、これの外周部17を公知のプリント回路板に願書添付の図面第4図(同八頁)に示すように嵌合したうえで、テスト・プローブの一端をプリント回路板にハンダ付けし、プリント基板上の回路と接続させて、本件発明の「テスト・プローブ組立体」を完成させているのである。本件発明の構成要件Bのベース部材の構成に関する「全体としての横方向の寸法が高さより大きく」という文言は、まさにベース部材の断面形状が長方形であることを表現するものである。そして、特定の角度として零度の場合を含むとすると、本件発明の構成要件D(四)の「特定の角度」は、あつてもなくてもよいということになつて、本件発明の構成に不可欠の事項ではなくなるから、右の「特定の角度」とは、零度の場合を含まないものといわなければならない。そうすると、本件発明の構成要件D(四)の「特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し」とは、導電性プローブの各々が零度の場合を含まない特定の角度で断面形状が長方形の右ベース部材の表面に固着していることを意味するものと解すべきである。これに対して、被告製品(一)の支持体6は、右(二)のとおり、表面がテーパー状に形成されていて、その断面形状が長方形にはなつていないのであつて、プローブ8は、支持体6のテーパー状に形成された表面と平行に密着して固定されているから、本件発明の構成要件D(三)を充足しない。

(七) 本件発明の構成要件D(四)について

本件発明の構成要件D(四)は、「前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、」というものであるのに対し、被告製品(一)は、プローブ8のすべてが円錐配列となつていないから、本件発明の構成要件D(四)を充足しない。

2  被告製品(二)は、次のとおり、本件発明の構成要件を充足しないから、本件発明の技術的範囲に属しない。

(一) 本件発明の構成要件Aについて

本件発明の構成要件Aの「面上に印刷された回路を有し」とは、前1(一)のとおり、「面上に印刷法で形成された閉回路が一つは存在し」と解するのが相当であるのに対し、被告製品(二)は、プリント基板1の下面上に写真法で形成された配線3を有しているのであるから、被告製品(二)の右構造は、本件発明の構成要件Aの「面上に印刷された回路を有し」との構成を充足しない。

(二) 本件発明の構成要件Bについて

被告製品(二)は、測定すべきデバイスの電極の配列に対応して設けられる複数のブローブ8における自由端長を相互に等しくするように決められた内側円弧及び固定されたブローブ8を基準面に対して同じ角度とするようなデーパー状の支持表面からなる支持片を一ないし四は有する支持体6を構成要素とするものであるから、常に、本件発明の構成要件Bの「その回路板の開口と同心状の開口を備えた絶縁体のベース部材」との要件を具備するとは限らず、したがつて、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Bを充足しない。

(三) 本件発明の構成要件C(一)について

被告製品(二)においては、四つの支持片が存在する場合には、各支持片は、それぞれ独自の中心点を有する円錐面の一部を構成する円弧からなつており、そのような支持片が組み合わされてできる錐体は、円錐とはなりえず、また、プローブ8が一ないし三の支持片にしか設けられていない場合には、円錐配列を形成することができないのであり、本件発明の構成要件C(一)の「ほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブ」の要件を充足しない。

(四) 本件発明の構成要件C(四)について

本件発明の構成要件C(四)の「プローブがその内端と外端間で特定の角度で配置されている」とは、前1(五)のとおり、テスト・プローブがその両端間において弓状又は鈎状に折れ曲がつていることを意味するのに対し、被告製品(二)のプローブ8そのものは、折れ曲がつていないのであるから、被告製品(二)の右構造は、本件発明の構成要件C(四)を充足しない。

(五) 本件発明の構成要件D(三)について

本件発明の構成要件D(三)の「特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し」とは、前1(六)のとおり、導電性プローブの各々が零度の場合を含まない特定の角度で断面形状が長方形の右ベース部材の表面に固着していることを意味するものと解すべきであるのに対し、被告製品(二)の支持体6は、表面が開口2下に向かつてテーパー状に形成されていて、その断面形状が長方形にはなつていないのであつて、プローブ8は、支持体6のテーパー状に形成された表面と平行に密着して固定されているのであるから、被告製品(二)の右構造は、本件発明の構成要件D(三)を充足しない。

六  被告の主張に対する原告の反論

1  本件発明の構成要件Aについて

「印刷された回路」という用語は、通常の用法として、回路部品又はこれに接続させるべき電気配線が配線図形として表現される限り、その図形の再現のために採られる手段、方法に限定がなく、したがつて、印刷法であつても写真法であつても、「印制された回路」に含まれるのである。本件発明の構成要件Aの「印刷された回路」も、その手段について限定されるものではなく、写真法によるプリントをも含むのである。

また、本件発明の第一の目的は、「たとえば、半導体装置、混成回路およびそれらの装置、回路が作られる基板などの超小型電子装置の部品をテストするのに特に用いられる、より効率的で信頼性のあるプローブ・カード」(本件公報一頁2欄一九行ないし二三行)の提供にあるところ、テスト・プローブ組立体は、テスト・プローブの接触端を集積回路チツプ等の部分における対応電極に接続させて回路を完成させ、部品のテストをするものであるから、本件発明の構成要件Aの「回路」とは、回路線のことである。

2  本件発明の構成要件Bについて

本件発明の構成要件Bにおけるベース部材は、「全体としての横方向の寸法が高さより大きく」、「支持表面を有し、」ということを要件としているところ、同要件は、横方向の寸法が厚みより長く、テスト・プローブを支持するのに供される面を有すればよいのであり、「支持表面」をどのようにするかについての限定は何もないのであるから、支持表面の形状を「テーパー状」に形成することをも含むのである。また、プリント回路板の開口とベース部材の開口は、「同心状」であるところ、「同心状」とは、「ほぼ同心状」であつても差し支えない。

3  本件発明の構成要件C(二)について

特許請求の範囲1には、「互いに離隔した接触端を有し、ブリント回路板から開口内へ延在し」との記載があるが、これは、テスト・プローブが、それぞれプリント回路板上から特定の角度で発し、回路板の特定の位置にある開口部内へ延在し、その先端の接触面は、一共通平面上にあるというものであり、右記載のうちの「プリント回路板から開口内へ延在し」というのは、テスト・ブローブが、それぞれプリント回路板上から特定の角度で開口のある特定の位置に向つて横方向に進んでいつた行き先についての記載なのである。本件発明の構成要件C(二)の「プリント回路板から開口内へ延在し」との要件の具体的実施の態様として、願書添付の図面第4図(本件公報八頁)に、開口部から下に出た位置にテスト・プローブの接触端のある例を記載しており、また、本件明細書の発明の詳細な説明の項に、「従つて、全てのプローブの接触チツプ28は第4図では下方に向けて突き出ていて一般に共通の面で終つていることがわかる。」(同四頁7欄一行ないし三行)と記載している。したがつて、本件発明の構成要件C(二)の「開口内へ延在し」は、プリント回路板の厚みの部分のみならず、その上下に延長した部分をも含むことが明らかである。

4  本件発明の構成要件C(三)について

本件発明の構成要件C(三)の「プリント回路」の「回路」は、前1のとおり、「回路線」の一意味である。

5  本件発明の構成要件C(四)について

本件発明の構成要件C(四)は、その記載から明らかなとおり、まず、「内端と外端間」としてテスト・プローブの全長を捉えており、次に、「特定の角度で配置されている」として、その角度が採られるべき基準となる対象は、テスト・プローブ自体ではなく、その直前の要件の「前記プローブの他端が回路板の一面上のプリント回路に接続され、」の中のプリント回路板であり、テスト・プローブとプリント回路板が、特定の角度であるとしているのである。このことは、本件明細書において、「プローブ組立体を含む本発明のプローブ・カードは第1図から第4図にかけて組み立てられた状態で示されている。」(本件公報二頁4欄二八行ないし三〇行)、「プローブ組立体14は一般に番号21で示される多数個の別々の導電性プローブを含む。それらは第3図、4図、6図及び10図に最も良く示されている。」(同三頁6欄三行ないし六行)と記載されて、導電性プローブ21が、願書添付の図面第3図、第4図、第6図、第10図(同八頁、九頁)中に、実質的に直線状のものとして示されていることからも明らかである。したがつて、本件発明の構成要件C(四)について、テスト・プローブが、その両端間において、弓状又は鈎状に折れ曲がつていることを意味するとの被告の主張は、誤りである。

6  本件発明の構成要件D(三)について

本件発明の構成要件D(三)の「特定の角度」は、ベース部材とテスト・プローブとの固着保持される配置関係に関するものであるところ、右の「特定の角度」が零度を含むことは、本件発明の構成要件C(一)において、テスト・プローブが「ベース部材の支持表面上に支持され」と、面全体で支持されることを予定した用語を使用していることから、当然、是認されるものである。また、「角度」という用語は、通常の用法によれば、「零度」を含むものである。

なお、本件発明において、ベース部材によるテスト・プローブの支持は、テスト・プローブの中間支持であることが明らかであるところ、テスト・プローブの固定端と自由端との中間での支持は、先行技術には存在しない本件発明の特徴的要件であるから、ベース部材の支持表面と支持されるテスト・プローブの係合関係について、特にこれに制限を加えて、ベース部材のテーパー面による支持を排除すべき理由はない。

7  本件発明の構成要件D(四)について

(一) 本件発明の構成要件D(四)の「前記円錐配列」は、構成要件C(一)の「ほぼ円錐配列」との要件を受けているところ、被告製品(一)において、導電性プローブ8の各々は、ほぼ円錐配列で固着保持されるという構造であるから、被告製品(一)の右構造は、本件発明の構成要件D(四)を充足する。

(二) 本件発明の構成要件D(四)のテスト・プローブの「前記円錐配列」は、構成要件C(一)の「ほぼ円錐配列」の要件を受けているところ、被告製品(二)の構造において、テスト・プローブは、四つの円弧の組合せからなる支持体に円錐状に形成配列し、固着保持されており、全体としてほぼ円錐状とみられるから、被告製品(二)の構造は、本件発明の構成要件D(四)と同一である。

なお、支持体を四つの円弧の組合せから形成するという構造は、各テスト・プローブについて、テスト・プローブの自由端長を均一にするための工夫であるところ、右自由端長の均一往は、本件発明のテスト・プローブの中間支持における具体的な一実施態様にすぎないものである。

第三  証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

第一  被告の本案前の主張について

一  ザイネテイクスは、一九八四年(昭和五九年)七月二四日、東京カソードに対、本件特許権を譲渡する旨の契約を締結したこと、しかしながら、本件特許権について、東京カソードに対する移転登録手続をしていないことは当事者間に争いがないところ、特許権の移転は、相続その他の一般承継によるものを除いて、登録しなければ、その効力を生じないのであるから(特許法九八条一項一号)、右争いのない事実によれば、ザイネテイクスが東京カソードから本件特許権譲渡の対価の支払いを受けたか否かにかかわらず、東京カソードに対する本件特許権の移転の効力は生じない。この点に関連して、被告は、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、信託法一一条の規定にいう訴訟信託に基づき本件訴えを維持していることになるから、この場合には、本件訴え自体か、不適法であるというべきである旨主張する。しかしながら、本件においては、右訴訟信託があつたことを認めるに足りる証拠はなく、また、これがあつたと同視することができるような事実を認めるに足りる証拠もない。したがつて、被告の右主張は、採用の限りでない。また、被告は、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、本件特許権の実質的権利者である東京カソードの利益のためにのみ本件訴えを維持しているものであり、しかも、本件特許権侵害による損害の主張が実体を欠くものであるから、原告には、訴えの利益がない旨主張する。しかしながら、原告は、本件において、タイコーが有していた本件特許権を、請求の原因1(一)ないし(四)のとおり承継したと主張して、それぞれの権利主体のもとで生じた本件特許権侵害による損害の賠償を請求しているのであつて、本件訴えが、原告が有する自己又はその被承継人の損害賠償請求権に基づくものである以上、訴えの利益が認められるものといわなければならない。また、原告の損害の主張は、請求の原因7のとおりであつて、これをもつて、その実体を欠くものであるということもできない。したがつて、被告の右主張も、採用することができない。更に、被告は、ザイネテイクス及びその権利義務を承継したと主張する原告は、本件特許権の実質的権利者である東京カソードの利益のためにのみ本件訴えを維持しているのであつて、権利の濫用に当たり、許されないものであるから、本件訴えは、不適法である旨主張する。ところで、公証人作成部分は成立に争いがなく、その余の部分は弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第二〇号証(ネイル・アール・ボンキーの宣誓供述書)には、ネイル・アール・ボンキーは、原告の特許部長から、東京カソードが正当な権限のもとに原告特許権を実施しており、原告が東京カソードの右利益を擁護するために、特許権者として、本件訴訟を遂行していると聞いたとの趣旨の記載があるが、右記載は、それ自体あいまかなものであつて、これを裏付けるに足りる的確な証拠もなく、甲第二〇号証の記載内容から直ちに、ザイネテイクス及び原告が、東京カソードの利益のためにのみ本件訴えを維持しているものと認定することは困難であり、他に右事実を認めるに足りる証拠もない。したがつて、被告の右主張は、その前提を欠くものであつて、採用の限りでない。

二  右のとおりであつて、被告の本案前の主張は、すべて理由がないものというべきである。

第二  本案について

一  請求の原因1のうち、(一)ないし(三)の事実は当事者間に争いがなく、右争いのない事実に弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第二二号証及び弁論の全趣旨によれば、(四)及び(五)の事実が認められる。

二  請求の原因2の事実は、当事者間に争いがない。

三  右当事者間に争いがない請求の原因2の事実及び成立に争いのない甲第二号証(本件公報)によれば、本件発明は、請求の原因3のとおりの構成要件からなるものであることが認められる。

四  請求の原因4の事実は、被告製品(二)を示す別紙目録(二)の頭書のただし書き部分の記載を除いて、当事者間に争いがない。

五  被告製品(一)が本件発明の技術的範囲に属するか否かについて判断する。

1  まず、被告製品(一)が前三認定の本件発明の構成要件D(三)を充足するか否かについて検討するに、前二の当事者間に争いのない事実によれば、同構成要件に関する特許請求の範囲の記載は、「該導電性プローブの各々を関連の導電性プローブから離隔して特定の角度で前記ベース部材の表面に固着し、前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、」というものであつて、右記載によると、本件発明は、導電性プローブを特定の角度でベース部材の表面に固着し、右プローブの全てを円錐配列で保持するための手段を具備するという構成を採用するものと認められる。ところで、普通の用語例に従えば、右の「特定の角度」とは、零度を含まない角度をいうものと解される。そうすると、本件発明の右構成は、導電性プローブを、零度を含まない角度で、ベース部材の表面に固着し、右プローブの全てを円錐配列で保持するための手段を具備する構成を意味するものと認められる。なお、右構成について本件明細書の発明の詳細な説明の項及び願書添付の図面の記載をみるに、前掲甲第二号証(本件公報)によれば、本件明細書の発明の詳細な説明の項には、本件発明の目的の一つについての説明として、「多数個の導電性プローブは適当な位置に個々の導電性プローブを保持する適当な支持体上に放射状に組み立てられる。絶縁材料のリングは絶縁材料中にプローブの各々の部分を埋設するように導電性プローブの配列上に重ね合わせられる。そしてそのように配置された組立体は絶縁材料を硬化するのに十分な時間加熱され、このようにして放射状配列の導電性プローブをその所定の位置に保持する。」(本件公報二頁3欄二八行ないし三六行)と記載されていることが認められ、右認定の事実によると、本件発明の前示構成は、導電性プローブを、保持するための手段である絶縁材料の中に埋設するようにして、所定の位置に保持するという構成を採用するものであつて、このように導電性プローブを絶縁材料の中に埋設する構成である以上、導電性プローブを、ベース部材の表面に直接接触固着するという構成を採用するものとは認められない。また、前掲甲第二号証によれば、本件明細書の発明の詳細な説明の項には、本件発明の実施例の説明として、「このように作られた多数の導電性プローブはベース部材16のまわりに放射状に配置され、そこでは各々の分離した導電性プローブは間隔をもうけて置かれ、隣接するプローブと電気的に絶縁されている。各プローブは、時間の経過により又は加熱により加工硬化する特性を持つ適当な絶縁材料の層29によつてベース部材16上に固定される。第4図に示されるように、各プローブの端子の先端23はそれに関連する線4にハンダづけされていて、一方プローブの中間部22はベース部材16上に支持されている。」(同三頁6欄二九行ないし三九行)と記載されており、右の第4図には、導電性プローブを、零度を含まない角度で、ベース部材16の表面に絶縁材料の層29によつて保持する構成が図示されており、更に、実施例の説明として、「第8図に示されている環状のベース部材16がプローブ配列の上に同軸状で重ね合わせられる。それをする前に、ベース部材16は絶縁材料の層29とともに一つの面上に設けられ、前記絶縁材料はプローブの上にベース部材16が置かれたとき絶縁材料29中にプローブを埋設するような軟性のものである。」(同四頁8欄二一行ないし二七行)と記載されており、右の第8図には、導電性プローブを、零度を含まない角度で、ベース部材の表面に絶縁材料の層によつて保持する構成が図示されていることが認められる。右認定の事実によれば、本件発明の実施例においても、導電性プローブを、零度を含まない角度で、ベース部材の表面に絶縁材料の層によつて保持する構成、すなわち、前示特許請求の範囲にいう「プローブの全てを円錐配列に保持するための手段」として絶縁材料の層を採用した構成が示されている。このように、本件明細書の発明の詳細な説明の項及び願書添付の図面の記載を参酌しても、本件発明の構成要件D(三)は、特許請求の範囲の記載に基づく前認定のとおり、導電性プローブを、零度を含まない角度で、ベース部材の表面に固着し、右プローブの全てを円錐配列で保持するための手段を具備する構成を意味するものと認められる。他方、前掲甲第二号証によれば、本件明細書にも願書添付の図面にも、本件発明の構成の中に、導電性プローブを、零度を含む角度で、ベース部材の表面に固着し、右プローブの全てを円錐配列で保持するための手段を具備する構成が含まれることを示唆するような記載は存しないことが認められる。この点について、原告は、本件発明の構成要件D(三)の「特定の角度」は、ベース部材とテスト・プローブとの固着保持される配置関係に関するものであるところ、右の「特定の角度」が、零度を含むこと」は、本件発明の構成要件C(一)において、テスト・プローブが、「ベース部材の支持表面上に支持され」と、面全体で支持されることを予定した用語を使用していることから、当然、是認されるものである旨主張するが、右認定の事実によれば、本件発明の構成要件D(三)にいう「特定の角度」とは、導電性プローブとベース部材の表面との角度をいうものであるところ、同構成要件は、導電性プローブを、それを保持するための手段(実施例では、絶縁材料の層が用いられている。)によつてベース部材の表面に保持する構成を採用するものであつて、「表面に保持する」ということから直ちに、導電性プローブとベース部材の表面全体とが直接接触する構成を意味するものではなく、導電性プローブは、ベース部材の表面と零度を含まない角度を有しながら、保持するための手段によつて、ベース部材の表面(全体)に保持される構成を採用するものであるから、原告のいう本件発明の構成要件C(一)の「ベース部材の支持表面上に支持され」という用語から、導電性プローブとベース部材の表面全体とが直接接触する構成、すなわち、零度を含む構成を採用するものとはいえず、したがつて原告の右主張は、採用することができない。

2  これに対して、被告製品(一)を示すものであることについて当事者間に争いのない別紙目録(一)の記載によれば、被告製品(一)は、プローブ8の中間部が、接着層7によつて、支持体6のテーパー状の支持表面と平行に密着して固定支持されているのである。

3  そうすると、本件発明は、その構成要件D(三)において、導電性プローブを、零度を含まない角度で、ベース部材の表面に固着し、右プローブの全てを円錐配列で保持するための手段を具備する構成を採用するのに対し、被告製品(一)は、テスト・プローブ8の中間部が接着層7によつて、支持体6のテーパー状の支持表面と平行に密着して固定支持されている構造である。したがつて、被告製品(一)は、本件発明の構成要件D(三)を充足しないものというべきである。結局、本件発明と被告製品(一)とは、プローブのベース部材に対する保持手段についてその技術的思想を異にするものといわざるをえない。

4  したがつて、被告製品(一)は、本件発明の技術的範囲に属しない。

六  被告製品(二)が本件発明の技術的範囲に属するか否かについて判断する。

1(一)  被告製品(二)が本件発明の構成要件D(三)を充足するか否かについて検討するに、被告製品(二)を示すものであることについて当事者間に争いのない別紙目録(二)の記載によれば、被告製品(二)は、テスト・プローブ8の中間部が、支持体6のテーパー状の支持表面と平行に密着して固定支持されているという構造であることが認められる。

(二)  そうすると、本件発明は、前四1のとおり、その構成要件D(三)において、個々のプローブとベース部材の表面とによつて形成される角度が零度を含まない角度であることを構成要件としているのに対し、被告製品(二)は、テスト・プローブ8の中間部が、支持体6のテーパー状の支持表面と平行に密着されて固定支持されているのであるから、被告製品(二)は、本件発明の構成要件D(三)を充足しないものというべきである。

2(一)  次に、被告製品(二)が本件発明の構成要件D(四)を充足するか否かについて検討するに、本件発明の構成要件D(四)の「前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、」にいう「前記円錐配列」の意味について考察する。前二の当事者間に争いのない事実によれば、同構成要件に関する特許請求の範囲の記載は、「(c)細く、繊細な線条で形成され、該ベース部材の支持表面上に支持され、前記プリント回路板の面に関して特定の鋭角で延び、かつほぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブであつて、互いに離隔した接触端を有し、」、「(d)…前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、」というものであり、また、前掲甲第二号証(本件公報)によれば、本件明細書の発明の詳細な説明の項には、「大まかに言えば、本発明はある観点においては、カードの中央に作られた開口のまわりに放射状の配列(アレイ)で終つている回路線を持つプローブ・カードを含む。前記開口にはガイドが設けてあり、そのなかに絶縁材料とベース上に放射状に配列された多数の導電性プローブを含む別に作られたプローブ組立体を据えることができる。前記放射状配列によつてプローブの端子の端部がそれに関連するカード上の回路線とハンダづけできるようになつている。」(本件公報二頁3欄八行ないし一七行)、「プローブ組立体はそれに係わる複雑さをなくし製造費用を最小にするように製造される、一方プローブ粗立体の製造ではその接触面は互いにある関係を持つて適当に間隔をあけて配列されている。この目的のため、多数個の導電性プローブは適当な位置に個々の導電性プローブを保持する適当な支持体上に放射状に組み立てられる。」(同欄二三行ないし三〇行)、「その組立体はベース部材16を有し、該部材は好ましくは環状であるが、正方形、長方形、C型または特定の用途によつて必要とされる任意の形にしてよい。」(同三頁5欄三二行ないし三五行)、「このように作られた多数の導電性プローブはベース部材16のまわりに放射状に配置され、そこでは各々の分離した導電性プローブは間隔をもうけて置かれ、隣接するプローブと電気的に絶縁されている。」(同頁6欄二九行ないし三三行)と記載されていることが認められる。右認定の事実によれば、本件発明に係るプローブ組立体は、一組の多数個のテスト・プローブの各々の一端がテスト・プローブ・カード上の回路線とハンダ付けされ、このテスト・プローブが好ましくは環状であるが正方形、長方形、C型または特定の用途によつて必要とされる任意の形をしたベース部材上に、放射状、すなわち、テスト・プローブの各々の他端の延長線が一点に収束する形状に組み立てられ、これがほぼ円錐形状を呈した配列となつており、かくして、複雑さをなくし、製造費用を最小にするようにしているものと認められるのであつて、「ほぼ円錐配列に配置された」とは、一組の多数のテスト・プローブが全体としてほぼ円錐形をなし、かつ、テスト・プローブの各々の延長線が一点に収束することを意味する構成をいうものと認められる。

(二)  これに対して、前掲目録(二)の記載によれば、被告製品(二)は、プリント基板1の下面座繰1aには、測定すべき半導体チツプの測定電極に対応してそれぞれ配列される複数のプローブの自由端長が相互に等しくなるようにその内側が、四つの円弧の組合せからなる形状をなしており、また、プローブ8は、測定すべき半導体チツプの測定電極に向つて直線的に延びているのであつて、内側が四つの円弧の組合せからなる形状を構成する複数のテスト・プローブは、測定すべき半導体チツプの測定電極に向つて直線的に延びているのであるから、テスト・プローブの延長線は、それぞれ独立した四つの点に収束することになる。

(三)  そうすると、本件発明は、その構成要件D(四)において、一組の多数のテスト・プローブが全体としてほぼ円錐形をなし、かつ、テスト・プローブの各々の延長線が一点に収束するという構成を採用しているのに対し、被告製品(二)は、テスト・ブローブの延長線がそれぞれ独立した四つの点に収束するのであるから、被告製品(二)は、本件発明の構成要件D(四)を充足しない。

3  したがつて、被告製品(二)は、本件発明の技術的範囲に属しない。

七  そうすると、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 宍戸充 裁判長裁判官清永利亮は転補のため、裁判官高野輝久は国内特別研究のため、署名捺印することができない。 裁判官 宍戸充)

目録(一)

一 物件の名称

テスト・プローブ・ボード

二 物件の種類、型名等

大きく分けると、二一タイプと一〇タイプの二種があり、それぞれのタイプ内の型番細目は、別紙No.1及びNo.2に記載のとおりである。なお、次の構造の説明の理解を容易にするため、テスト・プローブ・ボード(型名二一-〇〇一)の図面(第一図ないし第三図)を添付する。

三 構造

1 円形(二一タイプ)あるいは方形(一〇タイプ)の絶縁基板であるプリント基板1の中央部分に、測定すべき一つの半導体集積回路を構成する半導体チツプより十分大きい開口2が設けられている。

2 同開口2の周囲下面側に、支持体6を嵌装するための座繰1aが形成されている。

3 プリント基板1の下面上には、写真法により所定の配線3が形成され、配線3は、プリント基板1の下面にあつて、プリント基板1の上記開口の周辺から放射方向に延在するように形成された導線である(なお、一〇タイプは、プリント基板上面上にも配線が形成されている。)。

4 二一タイプのものでは、配線3の外終端におけるプリント基板1の部位には、小孔3aが形成され、コネクタピン4が挿入され、配線3の外終端と共にハンダ5aによりハンダ付けされており、そして、コネクタピン4には、プリント基板1の上面側への突出長さを均一にするためのストツバ4aが設けられている。

また、一〇タイプでは、上記各配線3は、その放射方向に延びた端縁から更に適宜な方同に、かつ、適当な長さだけ、それぞれ延長されて、そのプリント基板1の下端のコネクタ部に対向する位置においてそれぞれの延長端が一線に整列するように配設されている。

ただし、一〇タイプに属するもののうち一〇-〇一五及び一〇-〇二五では前記放射方向に延びた各配線3の端縁は、プリント基板の上記開口2と同心状をなすように整列せしめて配設される一方、プリント基板の下端のコネクタ部からそれぞれ上方に向かつて相互に平行に、かつ、ほほ同じ長さだけ延長された他の配線の端縁が一直線をなすように整列して配設され、これら双方の各端縁相互間は所望によりジヤンパー線を用いて適宜に接続可能になされている。

また、前記同心状をなすように整列せしめられた配線3及びコネクタ部の他の配線以外の部分のプリント基板のほぼ全面にわたつて、対をなす多数組のスルーホールがあり、また、名対のスルーホール間を接続する配線がプリント基板の上面に設けられている。

5 配線3の内端は、開口2付近まで延びて終端している。

6 プリント基板1の下面座繰1aには、全体としてその形状が開口2とほぼ同心のリング状をなし、その表面をアルマイト処理されたアルミニウム製支持体6が嵌装されている。

7 支持体6の支持表面には、底面に向かつて広がるような楔形溝6aが設けられており、その支持表面は開口2の下方に向かつてテーパー状をなしている。

8 一端に比較的太い接続端を有し、他端に先細りのテーパーが形成されたタングステンを主成分とする金属で形成され、かつ、前記接続端の表面が良導電性金属によるメツキ処理された細い線条で、バネ性及び導電性を有する多数のプローブ8を備え、これらのプローブ8の接続端は、ハンダ5bにより配線3に接続され、その中間部は、支持体6のテーパー状支持表面に接着層7により固定支持され、更に、これらのプローブ8は、測定すべき半導体チツプの電極に向かつて直線的に延び、その先端部は、接触端として、右電極に接触するように垂直方向に折り曲げられている。

9 プローブ8は、測定すべき半導体チツプの電極に対応している。このほかに一対のプローブ8a、8bをほとんどが有し、後者の一本のプローブ8aは、半導体チツプの一辺の所定の位置に対向するよう配置させ、他の一本のプローブ8bは、その接触端が右プローブ8aに同かつて折り曲げられ、右プローブ8aの接触端の下側に接触するよう配置されている。

No.1

各種テスト・プローブ・ボード間の関係を示す一覧表

テスト・プローブ・ボードの種別及びその概要 21タイプ:プローバーに装着するのにソケツトボード、マザーボードあるいはソケツトアダプタを介して用いるタイプ21タイプには2系統の使用法があり、1つはソケツトボードに装着することにより、プローバーのリングインサートに挿し込むもので、現在、IC工場のラインで主流をなしている。この方法の利点は、ソケツトボードに外付回路を形成して用いたとき針部とボード部が分離可能なため、針先が劣化したとき針部のみ交換すればよく、作業性、経済性に優れている。もう1つは、ソケツトアダプタを介して高周波用ヘツドに用いる方法で、すべての21タイプはこの方法が可能であり、高周波による測定に欠かせないものである。次に21タイプのおもなボードについて述べる。図1〈省略〉

品名(型番) 21-00121-001/G21-00321-00521-005/E21-001-4521-8124021-015

ボードの形状 円板状円板状円板状

ボードの寸法(単位:mm) 520_-0.1__101.5101.80_-0.1__520_-0.1__

プローブ数 70706012012045240120

コネクタリード数 7070601201207024064

備考 図面に示すもの図1図1図1

No.2

テスト・プローブ・ボードの種別及びその概要 10タイプ:プローバーのリングインサートに直接装着するタイプ10タイプは針部とマザーボードが一体となつているもので、針部のみの交換はできないが、もつとも多様なニーズに応ずることができ、一般の測定はもとより、当社独自の同軸針による高周波測定、特殊形状デバイスのプロービング等、すべてのプロービングの領域に及んでいる。図3;10タイプ及びソケツトボードタイプの寸法(3、4inch用)〈省略〉

品名(型番) 10-00410-00510-01510-02510-04810-055

ボードの形状 ほぼ矩形板状同上同上同上同上同上

ボードの寸法(単位:mm)

A 217.7217.7218.2217.6217.2217.7

B 45.84674.173.749.741.2

D 98.290.89191.198.491

プローデ数 70707012070240

コネクタリード数 487070704870

備考 図3〃〃〃〃〃

第1図

〈省略〉

第2図

〈省略〉

第3図

〈省略〉

目録(二)

別紙図面及び説明書に示すとおりの「テスト・プローブ・ボード」

ただし、支持体は四つの支持片(61、62、63、64)からなり、被測定物の電極の配列に合わせ、適宜支持片の形状、寸法を選択する。その典型的な二つの例を図面第一、同第二とし、構造についての記載の理解に供する。

説明書

一 別紙図面の説明

1 図面第一及び同第二共、第1図はテスト・プローブ・ボードの上面図、第2図は下面図、第3図は断面図、第4図は要部拡大下面図、第5図は要部拡大断面図を示す。

2 各図の符号は、それぞれ次のとおりの各部材を示す。

プリント基板・・・・・1

座繰・・・・・・・・1a

開口・・・・・・・・2

配線・・・・・・・・3

小孔・・・・・・・・3a

コネクタピン・・・・・4

ストツパー・・・・・4a

ハンダ・・・・・・・・5a、5b

支持体・・・・・・・・6(支持片 61~64)

溝・・・・・・・・6a

接着層・・・・・・・・7

プローブ・・・・・・・・・8

二 構造

1 円形の絶縁基板であるプリント基板1の中央部に、測定すべき一つの半導体集積回路装置を構成する半導体チツプより十分大きく、後述する支持体の形状に対応した方形の開口2が設けられている。

2 同開口2の周囲下面側に、支持体6を嵌装するための座繰1aが形成されている。

3 プリント基板1の下面上には、写真法により所定の配線3が形成され、配線3は、プリント基板1の下面にあつて、プリント基板1の外周辺から中心方向に延びる線となつている。

4 配線3の外終端におけるプリトン基板1の部位には、小孔3aが形成され、コネクタピン4が挿入され、配線3の外終端と共にハンダ5aによつてハンダ付けされている。コネクタピン4には、プリント基板1の上面側へ突出長さを均一にするためのストツパー4aが設けられている。

5 配線3の内端は、開口2の付近まで延びて終端している。

6 プリント基板1の下面座繰1aには、測定すべき半導体チツプの測定電極に対応してそれそれ配列される複数のプローブの自由端長が相互に等しくなるようにその内側が、四つの円弧の組合せからなる形状をなし、表面をアルマイト処理されたアルミニユウム製支持体6が嵌装されている。

7 支持体6の支持表面には、底面に向かつて拡がるような楔形溝6aが設けられており、その支持表面は開口2下方に向かつてテーパー状をなしている。

8 一端に比較的太い接続端を有し、他端に先細りのテーパーが形成されたタングステンを主成分とする金属で形成され、その表面が良導電性金属によるメツキ処理された細い線条で、バネ性、導電性を有するプローブ8の接続端はハンダ5bにより配線3に接続され、その中間部は、支持体6のテーバー状支持表面に接着層7により固定支持され、プローブ8は、測定すべき半導体チツブの測定電極に向かつて直線的に延び、その先端部は、接触端として、上記電極に接触するようにほぼ垂直方向に折り曲げられている。

三 作動態様

1 開口2の上部に設けられた顕微鏡による観察又は撮像装置により得られるプローブ8の尖端と半導体チツプの表面の映像信号に基づいてパターン認識装置により、手動又は自動的にプローブと電極との位置合せが行われると、半導体ウエハが載置された測定台がアツプ動作を行い、半導体ウエハの電極を前記プローブ8の接触端触させる。前記プローブ8の接触により、半導体チツプを動作状態にするための電源供給が電源供給用電極に対応するコネクタピン4、配線3及びプローブ8を通して行われる。

2 前記電源供給の後、半導体チツプの電極のうち、入力信号用電極に対応するコネクタピン4、配線3及びプローブ8を介して、所定の入力信号が半導体チツプに供給される。

3 半導体チツプは、この入力信号に従つて所定の回路動作を行い、その出力信号用電極から出力信号を送出する。

4 この出力信号は、対応するプローブ8、配線3及びコネクタピン4を通つてICテスターに伝達され、ICテスターは、前記信号を一定の期待値と比較することにより半導体チツプの良、不良を判定する。

図面第一

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

図面第二

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈19〉日本国特許庁(JP) 〈11〉特許出願公告

〈12〉特許公報(B1) 昭54-43354

〈51〉Int.Cl.2G 01 R 31/26 G 01 R 1/06 識別記号 〈52〉日本分類 99(5)C 6 110 A 4 庁内整理番号 7807-2G 〈24〉〈44〉公告 昭和54年(1979)12月19日

発明の数 3

〈54〉テスト・プローブ組立体

審判 昭49-8492

特願 昭44-87224

出願 昭44(1969)10月30日

優先権主張 〈32〉1969年2月14日〈33〉米国

(US)〈31〉799472

〈72〉発明者 オリバー・ロバート・ガレツトソン アメリカ合衆国カリフオルニア州マウンテン・ビユー・インデイペンデンス・アペニユー846

同 リチヤード・チヤールズ・ハーモン アメリカ合衆国カリフオルニア州マウンテン・ビユー・モンテシトアペニユー1902

〈71〉出願人 タイコー・インコーポレーテツド アメリカ合衆国カリフオルニア州マウンテン・ビユー・インデイペンデンス・アペニユー846

〈74〉代理人 弁理士 浅村晧 外2名

〈56〉引用文献

米国特許 3345567(1967年 クラス324)

IBM Technical Disclosure Bulletin Vol.9 No.9 February 1967 P1081-1082

図面の簡単な説明

第1図はテスト・プローブ組立体がそなえられたプローブ・カードのテスト側の拡大図、第2図は第1図のプローブ・カードの反対側の拡大図であつて、色表示インクとインク貯蔵器より導電性プローブの配列の中心まで延びている毛細管を保持するための数個のインク貯蔵器を図示した拡大図、第3図は第1図に示されているようにテスト・プローブ組立体の中心テスト区域のテスト側の部分的拡大図、第4図は第3図の4-4ので示された平面で取られた部分的断面図であつて、テスト・プローブ組立体の構造とプローブ・カードとの関係の詳細を示す断面図、第5図はテスト・プローブの作られた後まだ形を整えていないときのものの1つを他から別にして部分的断面で示した側面図、第6図は1つの完成したテスト・プローブの側面図、第7図は多数個のプローブの組立体を定められた配置で作製するために用いられる固定台の垂直断面図、第8図は第7図と同様な図であるが、プローブが置かれる絶縁材料のペース部材の添えられている図、第9図はプローブ組立体の平面図、第10図は第9図の10-10の線で示された面で取られたプローブ組立体の垂直断面図である。

発明の詳細な説明

超小形電子装置の到来とともに、構成部品の大きさは大幅に減少したが、一方これらの部品をテストするのに付随する複雑さは増加することになつた。本発明の1つの目的は、たとえば、半導体装置、混成回路およびそれらの装置、回路が作られる基板などの超小型電子装置の部品をテストするのに特に用いられる、より効率的で信頼性のあるプローブ・カードを提供することである。

半導体装置、混成回路およびそれらの装置のための基板の製造において、これら部品は装置に取りつけられる前に最終製品の電子装置に信頼して用いることができるかどうかテストする事が望ましい。このようなテストはこれら部品に端子を取り付ける前に為されるのがより好ましい。部品の大きさは微細なため、この部品の配列の中から与えられた部品を選択し、そしてその部品の実用性を決定するためのテストをそれに為すことが困難な場合がしばある。従つて、本発明の他の目的はプリント回路板によつて作られたプローブ・カード上に据えられるプローブ組立体を提供することである。前記プローブ組立体の各々のプローブはプリント回路板上にプリントされた回路線と所定の共働関係を有していて端子リードがつけられる以前またはそれがつけられた後に為される超小形電子装置半導体部品、混成回路、そしてそれが作られるチツプのテストを容易にする。

本発明の更に進んだ他の目的はテストされた部品を所定の基準に照らしてその相対的品質と等級を永久に印すための装置を提供することである。

大まかに言えば、本発明はある観点においては、カードの中央に作られた開口のまわりに放射状の配列(アレイ)で終つている回路線を持つプローブ・カードを含む。前記開口にはガイドが設けてあり、そのなかに絶縁材料とペース上に放射状に配列された多数の導電性プローブを含む別に作られたプローブ組立体を据えることができる。前記放射状配列によつてプローブの端子の端部がそれに関連するカード上の回路線とハンダづけできるようになつている。プリント回路板またはプローブ・ヵードの関連した面から離れていてその面に平行な共通面上に横たわる別の接触面を作るようにするため接触チップは互いに小さな間隔をあけて電気的に絶縁された状態で横たわるように導電性プローブの内端部が選択パターンで配置されている。

本発明の他の観点からすると、プローブ組立体はそれに係わる複雑さをなくし製造費用を最小にするように製造される、一方プローブ組立体の製造ではその接触面は互いにある関係を持つて適当に間隔をあけて配列されている。この目的のため、多数個の導電性プローブは適当な位置に個々の導電性プローブを保持する適当な支持体上に放射状に組み立てられる。絶緑材料のリングは絶縁材料中にプローブの各々の部分を埋設するように導電性プローブの配列上に重ね合わせられる。そしてそのように配置された組立体は絶縁材料を硬化するのに十分な時間加熱され、このようにして放射状配列の導電性プローブをその所定の位置に保持する。

本発明の第3の観点では前節で述べたようなプローブ組立体をプリント回路板またはプローブ・カードに装着する方法を含みそして前記プローブ・カードの1つまたはそれ以上の面はプリント回路板の中央開口のまわりの放射状配列で終る内端を回路線とともに与えている。開口は円形が都合良く層を持たせるためかん合形状にしてあり、そして前記層には導電性プローブを支える絶縁材料のペース部材が座わつていて導電性プローブを支えるペース部材はプリント回路板を通る開口の軸と一致している。プローブ組立体のペース部材が開口中に置かれるときプローブの端子の先はプリント回路板に印刷された選択された回路線に対して適当に置かれるように部品が割り当てられる。導電性プローブの端子の先は次にそれに付随する回路線にハンダづけされる。次に、プローブの接触チツプはカードの近くの面に平行な共通面に全て横たわる多数個の平らな接触面を得るようにそろえてある。

プローブ・カードでテストされる部品のうちのいくつかは欠陥があるかまたは不良であるということが不可避であるため欠陥または不良の部品を容易に正常のものと識別できるようにはつきりとした印を欠陥部品または不良部品につけるための装置を用意することは重要である。従つて、プリント回路カードの1つの側の上には、個別の色の識別インクを保持するための1つまたはそれ以上の貯蔵器が装着されている。各貯蔵器は毛細管を持ち、その先端部はテストされる部品の上に置かれ適当な信号の下において、毛細管は圧迫を受け、その先端部はテストされてる部品と接触し欠陥があるかまたは不良なものということを示すインクの点を部品の上に付する。

以下本発明の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。

プローブ組立体を含む本発明のプローブ・カードは第1図から第4図にかけて組み立てられた状態で示されている。そこに示されているように、プローブ・カードは全体として番号2で示されていて、ガラス繊維と適当な合成樹脂材料を含む薄板から成る平らなシート状板またはカード3中に通常の方法で便宜的に作られる。カードは第1図に示されているようにAの側に設けられていて、一般に番号4で指定された多数のプリント回路線をもつカードのテスト側を構成している。

カードのA側上の各回路線は図示されているようにカードの接触端6に隣接した一端で終り、種種の回路線の別の接触端はカードの接触端を横切つて平行に並んで配置されている。他端では、開口7のまわりで回路線は放射状に配置されていて各々の回路線の各々の端子の先端は隣接する回路線から隔離されている。カードのAの側には第1図のように24本の別々の完全な回路線が設けられている。

便宜的には、これら線の各々には各々の線を適切な関連する回路に接続するのを助けるための指標が付けられている。明解にするため、これらの指標は図から省略されている。24本の別の完全な回路線に加えて、他の線の短かい端子部分8が以下に述べるように放射状に適当に配置して設けられている。

第2図のように、カードの反対側すなわちB側には般に番号9で指定されている通常の回路線が設けられている。B側の24本の別々の回路線はA側に関して述べたと同じように、回路線の対応する端はカードの接触端6に隣接する平行接触面の列として終端するように配置されている。回路線の他端は中央開口のまわりに放射状に配置した端子の先端で終端している。

カードのB側に印刷された回路線は中央開口をかこむ回路線の先端にB側の回路線に関連する端子の先端と一端で接続しかつカードのA側に印刷された短かい端子部分8に電気的に接続されるようにカードを貫通している導体の端子装置をそなえている点でA側に印刷された回路線と区別される。

開口7は一般にカードの両端間の中間に作られ、円形であるのが好ましく、かん合部13を持つ、そして開口かん合部はカードに印刷されている回路線の端子先端と一致する円形内で同心円状になつている。

開口7より詳しくは、かん合部13内には番号14わされているプローブ組立体が据えられている。その組立体はペース部材16を有し、該部材は好ましくは現状であるが正方形、長方形、C型または特定の用途によつて必要とされる任意の形にしてよい。ペース部材の外周の部分17は、カード内に作られてかん合開口にプローブ組立体を正確に据えるためのガイドを形成している。

それ故、かん合部開口とプローブ組立体のペース部材16の外周17はカードの反対側の回路線の端子先端と正確な同心円状に置かれる。更に適当なすきまを設けておきそして適当なジグを用いることにより印刷されたプローブ・カードに1回の操作によつて開口を作ることができることは明らかである。そしてプローブ組立体は別々の異なる一連の操作で作られ、そうして2個の組立体は非常に正確に組み立てられる。

プローブ組立体14は一般に番号21で示される多数個の別々の導電性プローブを含む。それらは第3図、4図、6図及び10図に最も良く示されている。各々のプローブは好ましくはタングステンから作られる細長い線から作られていて、中間部22、端子先端部23そして接触チツプ部分24をそなえている。第5図と第6図を特に参照して、図示された実施例中の各々の導電性プローブは長さ約1.9cm(3/4インチ)で0.25mm(0.010インチ)のタングステン線から作られている。その長さ約1/3の端子の先端部23は銅の層26でめつきされ、次に各々のめつきしたプローブを関連する回路線にハンダづけしやすくするため金の層27でめつきされている。中間部22の領域では、プローブ線は何の処理もされず「生」のままの状態で残されている。プローブのこの部分はプローブの長さのうちの別の約1/3を占める。プローブの残りの1/3は接触部24を形成し、第5図に示されているように錐状になつている。このような先細りは任意の便宜的方法で行なえる。接触チツプ部分の先細りをさせることに引き続き、接触チツプの部分のうちの最先端部は長さ約0.5mm(0.020インチ)にわたつて導電性プローブの軸に関して直角に曲げられ、以下に詳細に述べられている目的のための接触チツプ28が得られる。

このように作られた多数の導電性プローブはペース部材16のまわりに放射状に配置され、そこでは各々の分離した導電性プローブは間隔をもうけて置かれ、隣接するプローブは、時間の経過により又は加熱により加工硬化する特性を持つ適当な絶縁材料の層29によつてペース部材16上に固定される。第4図に示されるように、各プローブの端子の先端23はそれに関連する線4にハンダづけされていて、一方プローブの中間部22はペース部材16上に支持されている。それ故各プローブの内側接触チツプ部分はペース部材16の内周から内側に向けて突き出していて接触チツプ28のところで終端している。前記チツプの軸はプローブの軸に対して大体垂直でペース部材とそれが据えられている開口の中心軸に対して平行である。

従つて、全てのプローブの接触テツプ28は第4図では下方に向けて突き出ていて一般に共通の面で終つていることがわかる。プローブ組立体が1つの基板に施こされるとき全接触面が該基板に突き当たり、本質的に同じ大きさの接触圧力を加えるようにプローブの接触面31が共通の面に存在することが重要となる場合、接触チツプ28の露出した端はカード3の面32に平行な共通面に接触面31が存在するようにそろえられる。

上に述べたようなプローブ組立体の製造に係わる複雑さのいくつかの考えは、従来のプローブ・カードでは、接触チツプが延びる別々の開口を所定のパターンで持つようにポリエチレン・テレフタレート(商品名、マイラ)などの合成樹脂の薄いシートによつて永久パターン・マスクをつくることにより接触チツプ部分の配列が固定され保持されていることを考えると明きらかとなろう。このような従来のポリエチレン・テレフタレート・マスクの開口の直径は約0.1ミリ(0.004インチ)のオーグであり、接触チツプは開口側面に接触することなくこの開口を通り抜けてしまう。このように分離した接触チツプ間の間隔は0.025mmから0.05mm(0.001インテから0.002インチ)であり、多数の接触面が最小の領域に作られる一方、互いに電気的に絶縁された状態を保持している。

プローブ組立体の製造を容易にするため、第7図と第8図に言及する、そこではリング状の支持部材38を支持する上面37を持つ板36を有する固定台が示されている。部材38の下端39は支持板36の上面に合致してはまるような形になつている。支持部材38は中心孔41を有し、支持部材38の上面42は第7図と第8図に示されているように環状で傾いた面を得るためその中心軸の方に向けて狭くなつている。

支持部材38中の孔41に向けて突き出ているのは中心柱43でありその上端は図示しているように環状フランジ46で囲まれた凹所すなわち中空が作られるようになつている。環伏フランジ46の上端には接着剤の層47があり、それは両面テープの形を取ると都合がよく、その一方の側はフランジ46の上端を接着し、反対側はたとえば透明なポリエチレン・テレフタレートなどの合成樹脂シートの図示されているように重ね合わさつた層を固定するために露出したままである。ポリエチレン・テレフタレートは厚さ約0.15mm(0.006インチ)の程度が好ましく、プローブ組立体が完成されたとき接触チツプ28が横たわるような模様で配置された多数の開口49を有している。この場合に用いられる前述の樹脂マスク48は固定台の一部を構成してはいるがプローブ組立体の部分を構成するものではないことを理解すべきである。

第6図に示されている形状の多数のプローブは支持部材の上部傾斜面42の上に置かれプローブ組立体を作ろうとしているプローブ・カード上の回路線によつて作られる放射状配列に対応するよう配置されている。そのような配向を容易にするために、支持部材の上部傾斜面42はプローブ組立体を意図した放射状配列のパターンが写真撮影されているマスクを上に横たえることが好ましい。

開口49を通つて突き出ている接触チツプ28とともに、プローブの端子の先端23は各々が回路線と係合するように配向されている。適当に方向を定めた後、第8図に示されている環状のペース部材16がプローブ配列の上に同軸状で重ね合わせられる。それをする前に、ペース部材16は絶縁材料の層29とともに一つの面上に設けられ、前記絶縁材科はプローブの上にペース部材16が置かれたとき絶縁材科29中にプローブを埋設するような軟性のものである。

板36と中心の柱43はアクリル合成樹脂(商標名、ルサイト)から作り、支持部材38はボリテトラフルオルエチレン(商標名、テフロン)から作ることが好ましいということがわかつた。このような材料は部品の調節を容易にし、プローブを埋設したときプラスチツクの絶縁層29が支持部材38の上面42にくつつくことを防ぐ。

このように作られて今や導電性プローブの固定した配列を持つ固定台はオーブンに入れられ約93℃(200F)の温度まで加熱される。このような加熱は絶縁材科の層29がす早く硬化しプローブを所定の方向で永久に保持するよう約1時間続けられる。

プローブ組立体が完成した後、ペース部材16の外周部17がカードの開口7のまわりに作られたかん合部13中に据えられるようプローブ・カードの上に重ね合わせられる。かん合部開口をカード中に有するよりもペース部材の外周部17は段部をつくるように直径を小さくしても良い、またはその代わりにペーズ部材16の外周は直接に開口7に据えても良い。プローブ組立体が開口中に据えられるとともに、前記組立体は放射状に外方に向けて突き出ているプローブはカード上の回路線と一諸になつて存在するように配向される。次にプローブの各端子の先端部23は第4図に示されているように関連する回路線にハンダづけさ。

十万という半導体装置、混成回路及びそのような装置が作られる基板チツプなどを含むテスト過程においては、テストされた基板チツプのうちのいくつかは欠陥があるかまたは事前に定めておいた品質の不良な部類に入ることがあるのが普通である。テストされる各部品に欠陥があるかまたは不良な状態であるかを示す所定の印に従つた印づけを容易にさせるための装置が各プローブ・カード上に設けられている。

第2図、3図および4図を参照して、第2図のカードのB側に、カード中の開口のまわりに同心円状に置かれていて回路線9の端部によつて作られている端子の同心円状配列とこの開口の間に置かれている銅層56とともに置かれている環状領域が示されている。カードのまわりの所定の場所にはある量の印をつけるインクを保持し調剤するための小さなはめ輪型の中空の容器57から成る複数の貯蔵器が重ね合わせられている。

その貯蔵器はポリテトラフルオルエチレンで作ているが好ましく、実際の大きさは6.25mm(/4インチ)の高さで直径4.69mm(3/16インチ)であり、毛細管59が延びる孔をその一方の側にそなえている。毛細管59の内端は貯蔵器の内部と通じている。その毛細管は第4図に示しているように一述のジョグ(Jogs)を持ち、かなりまつすぐで水平な毛細管の部分61は環状領域56と接触しながらそれを放射状に横切り、それ故毛細管の部分61は前記領域56にハンダづけできる。毛細管の自由端は作用部62中で下に向けて曲がつている。またその最先端部63は通常個々のプローブ・チツプの接触面31を含む面から少し上に置かれる。

毛細管の作用によつて貯蔵器の中からの印インクは毛細管を通つて移動し作用部の最先端部63で毛細現象によるふくらみをつくる。もしもテストされているチツプまたは基板が欠陥のあるものだと決まつたとき、毛細管の自由端は第4図の矢印の方向に下に向けて圧迫され、欠陥または不良の基板にインクのついている毛細管の端部を接触させる。このような圧迫は瞬時の作用であり毛細管はテストされている基板上にインクの小さなスポツトすなわち点を残して即座に離れる。この点は欠陥または不良の部品を、首尾よくテストに合格したその他の隣接する部品から区別するのに都合よい。毛細管は外径が0.175mm(0.007インチ)で内径が0.1mm(0.004インチ)のステンレススチール管で製作すると都合が良い。毛細管の瞬間的圧迫は手もしくはたとえばソレノイドなどの任意の適当な手段で行なつて良い。

〈57〉特許請求の範囲

1 (a) 面上に印制された回路を有し、特定の位置に開口を有するプリント回路板と、

(b) 全体としての横方向の寸法が高さより大きく、支持表面を有し、前記プリント回路板の開口の位置に配置され、その回路板の開口と同心状の開口を備えた絶縁体のペース部材と、

(c) 細く、繊細な線条で形成され、該ペース部材の支持表面上に支持され、前記プリント回路板の面に関して特定の鋭角で延び、かつはぼ円錐配列に配置された多数の導電性金属のテスト・プローブであつて、互いに離隔した接触端を有し、プリント回路板から開口内へ延在し、1共通平面上に存在する接触面を含み、前記プローブの他端が回路板の1面上のプリント回路に接続され、プローブがその内端と外端間で特定の角度で配置されている多数の導電性金属のテスト・プローブと、

(d) 該導電性プローブの各々を関連の導竃性プローブから離隔して特定の角度で前記ペース部材の表面に固着し、前記プローブの全てを前記円錐配列で保持するための手段と、

を包含するテスト・プローブ組立体。

2 特許請求の範囲第1項記載のテスト・プローブ組立体において、前記ペース部材がプローブの長さ方向に沿う中間位置でプローブと係合し、固着手段がペース部材と共働して、プリント回路板の面に関して特定の鋭角をなす少なくとも一対の隔置された位置に前記プローブを支持するようにしたテスト・プローブ組立体。

3 特許請求の範囲第1項記載のテスト・プローブ組立体において、更にマーク付着用流体を保持するためにプリント回路板の他の面上に配置された容器と、容器からプリント回路板およびペース部材の開口を通つてテスト・プローブの先端に近接した位置まで延在して基板へ流体を輪送するための毛細管であつて、毛細管と基板とが係合した時基板上にマークを付けその基板が不良であることを示すための毛細管とを包含するテスト・プローブ組立体。

FIG.1

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FIG.2

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FIG.3

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FIG.4

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FIG.5

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FIG.6

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FIG.7

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FIG.8

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FIG.9

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FIG.10

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特許公報

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